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♦ 30の提言(素案)
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セミナーの全体像

本研究会は、今後約1年にわたり、原則として隔週ごとにセミナーを行い、議論を深めていきたいと考えている。現在のところ、そこで取り上げる課題としては、「森林施業」、「木材利用」および「林業経営」が想定されている。

森林施業については、森林の多面的機能の高度でかつ持続的な発揮を図ることを目的に、技術的問題点と併せ森林情報について議論し実効性ある森林計画等のあり方を明らかにしようと考えられている。
(森林施業の課題概念図 PDF 2MB)

木材利用については、適切な森林施業の実施を前提とし、国産材の供給可能性を勘案しつつ、今後の利用のあり方や木材価値の向上及びそれと併せた林業経営のあり方について検討することとされている。
(木材利用の課題概念図 PDF 1.6MB)

林業経営については、まず、集約化、路網整備等生産性向上策の加速化について検討し、林業経営の収益性について整理することとされている。また、そのことを基礎として林業経営を支える課題について論議し、その課題ごとの対策と併せ、持続性のある林業経営を成り立たせるあり方を明らかにしたいと考えられている。
(林業経営の課題概念図 PDF 1.2MB)

以上のことは、わが国の森林、林業、木材利用の将来のあり方を考えつつ、持続可能な森林経営を実現していく基礎構造を再構築したいということであり、そのための改革プランをまとめたいと考えられている。

この進め方として留意すべき幾つかの点がある。その一つは、改革のためには現実の問題点を的確に把握することが必要であるが、それを批判的にあげつらうことだけに終始しないようにしなければならないということである。

二つめは、「森林・林業の本来的あり方=持続可能な森林経営」を考えるとすれば、これまでの議論が往々にして現在から将来をみる形で行われてきたことに対し、できるだけ、将来からみてこうあるべきという形で考えられなければならないということである。

三つめは、これらの課題はそれぞれに関連しており、個々の関係を総合化する必要があるということである。例えば、林業労働力の育成についてみれば、通年雇用の確保や月給制をはじめとする処遇の改善を行うべしと議論されるが、事業量の安定的確保や賃金に見合った生産性の向上が図られなければ実現は容易ではないだろう。従って、それぞれの課題の個々の対策と併せ全体的で総合的な検証がなされなければならない。

四つめは、より実践的な改革プランを作成していくためには、関心を持つ多くの方々の参加と積極的な発言を期待したいということである。そのため、セミナーは原則として公開で行うとともに、その結果についてもホームページで公表していくこととしている。

このようなことは、これまで国等が行うことと考えられてきた。しかし、新しいあり方を考えるとすれば行政の取り組みと併せ民間的なレベルでも多様な議論がなされることは意義のあることと思っている。実は、新時代のあり方は、行政依存型ではなく行政とパートナーシップを結ぶ形に変わることが求められているのである。

戦後造成してきた人工林が利用できる時期を迎えつつあるが、見方を変えれば、この森林を今後どうしようとするかが今問われているともいえる。伐採するのか、さらに長期に育成していくのか、その意味では戦後の拡大造林の時代が転換期であったとすれば今が第2の重要な時なのである。さらに高齢化した現在の担い手の状況や今後の社会における森林・林業の重要性等を考え合わせれば、この5〜10年の間に森林・林業の基礎の再構築を図り将来にわたって持続する形を作り上げていかなければならない。そのための課題は多岐にわたるし、実現の困難性も予測されるが、まずは、議論をし、行動するところから始めよう。

(森林技術2009年1月号より抜粋)